HOLISTIC
Holistic Medicineは、日本語でもそのままホリスティック医療と翻訳されている。Holisticとはholismを形容詞化したものであり、Holismは全体論と翻訳されているが、その意味は“複雑な体系の全体は、単に各部分の機能の総和ではなく各部分を決定する統一体であるとする”と英和辞典に記載されている。医学の立場からみると、このHolismとは中国伝統医学(以下「中医学」と称する)の基本的概念である“整体観念”と共通したものといえる。一般的な西洋医学では、動物の体を各器官・臓器の総和であると考えるのに対して、中医学は動物の体を単なる部分の集合体ではなく1つの「整体システム」ととらえる。動物の体を、内的な精神・情動の変化と外界からの影響を絶え間なく受けてバランスをとりつつ変化する一つの複雑な体系であると考える。中医学では、このシステムの乱れを1つの病態と認識すると同時に治療法を提示することもできる。つまり、その時点で西洋医学による検査データに異常がみられなくとも、体系的な診断と治療を行うことが可能なのである。
これらのことからHolistic Medicineは『動物の病気の原因と発病に至るメカニズムを、既存の西洋医学とは異なった視点から、精神・肉体・環境を包括した整体観に基づいて体系的に診断し、西洋医学と異なった手段を用いて治療する医療』といえる。しかし残念ながら現時点においてはまだ、ホリスティック医療はホリスティック医学としてのまとまった体系があるわけではなく、実際には、現代西洋医学が発達する以前から世界各地に存在していた伝統医学・療法が、ホリスティック医療の中に包括されているにすぎない。
世界中には様々な伝統医療が存在しているが、療法と呼ばれたり、医学と呼ばれたりと呼称も異なる。では療法と医学の違いは何だろうか?中医学、アーユルヴェーダ医学など医学と呼称されるものには長い歴史があり、それぞれ固有の基礎理論、病因病理観を有しており、診断から治療までが体系化されているものと考えられる。一方、ハーブ療法、日本漢方、アロマセラピー、フラワーエッセンス、ホメオパシーなどは、伝統医学の中でも比較的新しいものであり、基礎理論から診断・治療に至るまでの体系が確立されていないので、療法とみなされる。
これらの伝統医学には、それぞれに長所と短所があり、単独で臨床に応用するよりもいくつかの医学・療法を組み合わせて用いたほうが適用範囲も広がるうえ、臨床効果も高まる。
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